SQUINT

LINKS #3 – SESSION –

Photo: Mitsuo Shindo
Text: Jun Nakazawa

ひとたび一緒になって楽器を奏でれば、言葉はなくとも心が通う。それが音楽の魅力の1つでもある。今回は、普段は別々のグループで活躍するジャズマンのジェントル久保田、たきざわあつき、浅葉裕文の3名が「白山眼鏡店」からのオーファーを受け「Optician H ’s Grease Jazz 」の名の下に集まりセッションを行った。彼らが演奏したのは、ジャズのスタンダードナンバー『Mack the Knife 』。折しも彼らが普段愛用する眼鏡が「白山眼鏡店」だ。
“ジャズマン”と“白山眼鏡店”という共通点を持った彼らのセッションは、リンクするそれぞれのスタイルを垣間見ることができた。

PROFILE

ジェントル久保田

TROMBONE
大学入学まで楽器未経験という異色のトロンボーン奏者。2005年に自身がリーダーのバンド、Gentle Forest Jazz Bandを結成。2007年には盟友である浜野謙太に誘われて在日ファンクに加入。両バンドでの活動の他に、その印象的なキャラクターを活かしてTVCMなどにも出演している。

PROFILE

浅葉裕文

GUITER
ご機嫌にスウィングするプレイに定評のあるジャズギタリスト。20代前半に世界各地を周り各地のミュージシャンとセッションを重ねる。帰国後ジャズギタリストの岡安芳明氏に師事。以降、数々の作品をリリースし日本のみならずアメリカや台湾などのジャズフェスティバルにも出演。世界的にも注目を集めている。

PROFILE

たきざわあつき

DRUMS
自由自在なドラミングスタイルで、数多くのミュージシャンから信頼を集めているドラマー。幼少期よりドラムを始め、高校卒業後に甲陽音楽学院でアンサンブルの基礎を学ぶ。その後、1年間ロサンゼルスで生活し、現地で見たスウィングジャズに魅了される。帰国後、様々なジャンルのアーティストと共演し、幅広く活躍中。

―音楽や楽器に興味を持ったきっかけはなんだったのですか?
ジェントル久保田(以下G): 僕が音楽に興味を持ち始めたのは遅めで、22~23歳くらいなんですよ。
ある暇な日に自分が持っているビデオを見返そうと、忌野清志郎さんの30周年ライブの映像を観ていたら、東京スカパラダイスオーケストラからスカパラホーンズが出演していて。北原雅彦さんのトロンボーンを見て、カッコイイなと思ってやり始めたんです。

―そこから自然とジャズを好きになっていったのですか?
G: 僕はいろいろな仕事を経て、22歳で大学に入学したんです。新入生歓迎のときに、ビックバンドのジャズサークルがデモ演奏をしていて。
そこにトロンボーンの人がいたので、その楽器をやりたいですと入ったんです。だから最初は特にジャンルも分からずに始めたんですよ。

―徐々に好きになっていったんですね。たきざわさんが音楽、楽器を始めたきっかけは?
たきざわあつき(以下T): 僕は小学3~4年生くらいのときに、兄がギター教室に通い始めて。そこにドラム教室もあって、僕も通い始めたのがきっかけです。
その後、バンドをやったり、音楽の専門学校に行ったんです。最初はハイスタンダードなどのメロコアをやっていましたね。

―そこからどういった経緯でジャズに興味を?
T: 24歳くらいのときに、ロサンゼルスに1年ほど住んでいたんですけど、現地で見たスウィングジャズのドラマーに人生を変えられましたね。
ジャズというとオシャレなムードのイメージだったんですけど、スウィングジャズで観客が踊る姿を見て、なんてカッコイイんだと。
すごくダイナミクスがあったんです。そこからどっぷりハマっていきましたね。

―浅葉さんが音楽やジャズを好きになったきっかけは?
浅葉裕文(以下A): 僕は14~15歳くらいのときに、同級生がギターをやっていて、一緒にやり始めたのがきっかけですね。
最初はパンクが好きで、掘っていくうちにいろいろな音楽、ストレイ・キャッツやブライアン・セッツァーが好きになって。
そのルーツを追っていったらロックンロールやR&B、ブルースなどを好きになりました。
その後、いろいろと放浪して、23歳のときに1か月ニューオリンズに行ったんです。

―ニューオリンズをギター1本でさすらっていたんですか?
A: いま思うと全然弾けないのによくやったなと(笑)。音楽が街にあふれていて、本当に楽しい場所で。
衝撃を受けてプロになると決めたんです。日本に帰ってきて、ギタリストの岡安
芳明さんに習い始めたり、ジャズバーでアルバイトをしながら、ジャズギターを本格的に始めたんです。

一緒に買ったんだよね(笑)。(浅葉裕文)

ようやく自分にピタッと合うものが見つかりましたね。(ジェントル久保田)

―それぞれ特徴的な経歴をお持ちですが、お互いをどんなプレイヤーとして見ていますか?
G: 例えば自分が好きな範囲を何個かの丸で表すとすると、重なる部分が多い人たちだなと。
ジャズをやりながら何を表現するのか、プレイはもちろん現状の問題意識、そしてちゃんと時代感を分かっているというか。
特に申し合わせがなくても同じようなところを見ている感覚ですね。
T: 2人はプレイヤーでもあるし、バンドリーダーもやっている。
ジェントルさんは自分のバンドを、浅葉さんはトリオやカルテットをやっていて、それぞれ自分のやりたい、出したい音というのが明確にあるんです。後ろでドラムを叩いていても楽しいし、面白さを感じます。
A: ジェントル久保田さんとは今回、初めて演奏しましたけど、以前から作品は色々と聴かせてもらっていました。
2人ともセンスがすごくいいし、エンターテイナーな面もあるなと感じています。

―そしてみなさん、ジャズの他に白山眼鏡店を日頃から愛用しているという共通点がありますが、かけ始めたきっかけは?
G: 僕はずっと理想の形の眼鏡を探していたんです。
ある日、タッキー(たきざわあつき氏)の眼鏡を見て、「その形いいね、どこで買ったの?」と聞いたら、白山眼鏡店だと。その次の日には買いに行きましたね(笑)。

―ようやく理想の眼鏡を見つけたんですね。
G: そうですね。ようやく自分にピタッと合うものが見つかりましたね。

―たきざわさんと浅葉さんが白山眼鏡店を掛けるようになったきっかけは?
T: 僕と浅葉さんは一緒に買いに行ったのがきっかけなんです(笑)。
A: そうそう、一緒に買ったんだよね(笑)。

T: ファッションに詳しい先輩が、「眼鏡だったら白山眼鏡店だよ」と教えてくれて、浅葉さんの眼鏡を買いに行ったんですよ。
僕は買う気はなかったんですけど、いろいろ掛けて試しているうちに欲しくなって。その場で買ったのがきっかけですね。
ステージに上がるときは必ず掛けています。
一回、無くしたことがあって、眼鏡を掛けずに演奏したんですけど、知り合いになんか顔が足りないよね、と言われました(笑)。

―もう白山眼鏡店がトレードマークみたいになっていると(笑)。
T: なんかすごく眠そうな顔していたよね、とか言われて(笑)。
僕は童顔なんですけど、眼鏡を掛けるとちょっと毒気が出るのがいいみたいです。

―なるほど。そして今回『Mack the Knife』でセッションを行いましたが、一緒に演奏してみてどうでしたか?
G: 音を出した瞬間に大丈夫だなと思いましたね。
T: 僕は2人とも別々のバンドで演奏したことがあるので、この3人で音を出すと聞いたときに、なんの不安もなかったです。
純粋に音を出していて楽しかったですね。
A: 一発OKでしたね。自分のバンドでもこういう小粋なアレンジをやりたい、パクろうと思いましたね(笑)。
またセッションができたらすごく楽しいなと思います。
これを機会にライブや作品にまで発展していけば面白いですね。それでは今後、それぞれどのような活動を考えているのか教えてください。
G: 基本は自分がリーダーのバンド、Gentle Forest Jazz Bandで、これからも変わらずにジャズの楽しさをみんなに見てもらえたらと思います。
T: 今年、30歳になるんですけど、いろいろ生活を変えていて。この前、自分がリーダーという立場で演奏する機会があって。
今までは誰かに呼んでもらうのを待っているというか、呼んでもらうことを念頭に活動をしていたんですけど、もっと自分から発信していきたいですね。
A: 自分のギターのスタイルはちょっとマイナーで珍しかったりするけど、すごく楽しくてカッコイイと思っています。
今はインターネットを通して世界中の人と繋がれる時代。自分がカッコイイと思うものを貫いて世界中の人に届けていきたいですね。

今回のセッションを収めたオフィシャルムービーが公開中。初めてとは思えない息のあったセッションが印象的だ。ジャズのスタンダードナンバー『Mack the Knife』に彼らの息吹が吹き込まれた新鮮な空気感は必見。

https://hakusan-megane.co.jp/features/ohgj/